北緯1度通信

シンガポール在住の日本人です。日々の雑感、趣味の話など思いつくまま書いてみます。

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唐沢俊一のマンガ論検証(3)UA!ライブラリー・3「おとこ足の少女」

唐沢俊一のマンガ論検証三回目です。UA!ライブラリー・3「おとこ足の少女」は、奥付によると1997年10月に日本資本漫画保存会により発行されています。前作から1月後です。前作の発行者はソルボンヌK子でした。
通販などの問い合わせ先として鹿野景子さん個人宛ての住所が記載されているのは前作同様です。

目次によると、この本には「おとこ足の少女」と「鋼鉄の巨人」の2作品が収録されていることになっていますが、中身をみると後者は小林将二の「黒い真珠」です。唐沢俊一による解説でも「鋼鉄の巨人」はおろか「黒い真珠」にも一切触れていません。何かあったのかな。この「黒い真珠」は「鉄人28号」の下手な模倣にしか見えません。唐沢俊一の文章は、p72からp75の4ページですが、ページの半分が谷ゆきおの作品からの画像ペーストなので実質は2ページ程度です。では。


同書72ページから75ページまで。原文縦書き。強調引用者。

すべてのマンガはクズである

唐沢俊一

谷ゆきおの作品は、どれもダサい。センスが古いし、特に当時の現代風俗を描いて、それがいかにも無理のあるところに、今読んでも気恥ずかしさを感じる。ご本人はお気を悪くされると思うが、永遠のB級作家という肩書が、谷ゆきおにはふさわしい。
だからこそ、復刻する価値がある、と僕らは信ずる。
最近、貸本マンガのカルト作品の復刻がブームである。いずれも、”幻の名作”と銘打った作品を立派な装丁で復刻している。時々、トマドイをしたマスコミが、こういうブームの火付け役とか言って、僕のところにインタビューにきたりする。
なんか、違うんである。
僕は、決して、”幻の名作”を復刻したかったのではないのである。僕が世間の読者のみなさんに読ませたかったのは、クズなのだ。いわゆるマンガ作品としての価値など、ほとんど無きに等しいものを復刻してみんなに読んでもらいたかったのだ。
なぜか。
マンガの本質は、クズだからである。クズをわからずして、マンガをわかったことにはならないのだ。マンガ業界自体が、クズであったというかつての出自を忘れてしまったことに、今のマンガ界の衰退の原因があると思うクズだったからこそ、マンガはここまでノシ上がってきたのだ。自らの本質を忘れて高級ぶっている者に未来はない。それは、かつてのケレンを忘れて文化芸術になってしまった歌舞伎が、大衆から見放され、国家の保護を受けてやっと生き延びているという状態を見ても明らかだろう。
怪獣映画マニアとして名だたる存在のジョン・ランディスが怪獣映画に対していった、
すべての怪獣映画はガジェット(クズ)である
という言葉をわれわれはもう少し、考えてみる必要があると思う
クズの魅力をもう一度、僕らマンガ読みは再確認しなくてはならない。作品の底にあるテーマや、表現の意味などをオモンパカラねばならぬマンガはもう、当分読まなくてもいい。無意味の魅力、無価値なもののうれしさに囚われたからこそ、昔はわれわれはかつてマンガにあるのだ(ママ)。そういうズップリはまっていたのではなかったか(ママ)
マンガの本当の魅力は、その安っぽさにあるのだ。そのB級性にあるのだ。そういう意味で、もっともマンガらしいマンガのひとつが、この谷ゆきおの作品と言えると思う。
「あ、足に毛が生えている~」
という主人公のホンットにどうしようもない叫びにこそ、マンガの神髄というものが隠されていると言えると思う(ママ)のである。


UA!ライブラリー・2「愛すべき猫と兄貴」に掲載された「復刻にあたって」では、岡部多美はマンガの新しい技法を一所懸命取り入れているから重要な歴史的意義がある、と持ち上げていたが今回の谷ゆきお作品はクズか。

それどころか「すべてのマンガはクズである」ときた。この文章が書かれたのは1997年ですよ、頭は大丈夫か?と心配になる。クズじゃないマンガはいくらでも挙げられるのになぜこんな事を主張するのか。

"どれもダサい。センスが古い"

今の視点でダサイい、センスが古い、と言われても説得力がない。私は、今の眼で見ると新東宝の怪談映画みたいでしゃれてると思うんだけど。

"当時の現代風俗"

というのは座りが悪い言葉だ。"当時の風俗"でいいんじゃ?

"今読んでも気恥ずかしさを感じる"

今だからじゃないの?

"クズだったからこそ、マンガはここまでノシ上がってきたのだ"、"今のマンガ界の衰退の原因があると思う"

伸し上がった時点ですでにクズを脱しているのだよ。伸し上がったのに衰退って?この非論理は毎度とはいえどうにかならないか。

"昔はわれわれはかつてマンガにあるのだ(ママ)。そういうズップリはまっていたのではなかったか(ママ)。"

まじ、変ですよ、センセー?口角泡を飛ばす様子が見えそう。こんな人とは論争したくないな、アブナくて。

すべての怪獣映画はガジェット(クズ)である

ジョン・ランディスの言葉を引いているが、ガジェットって"クズ"ではなく"面白いが役に立たないもの"と解釈すべきだ。マニアが自分の愛するものを"クズ"呼ばわりするかい。

"われわれはもう少し、考えてみる必要があると思う"

考える必要があるのはあんただと思うが。

唐沢のこの文章、えらく既視感があるんだけど、あちこちでこんなこと書いてるようだ。

以上です。どんどんひどくなる一方ですねえ。次回はUA!ライブラリ・4「妖女の奏でる夜想曲」を取り上げます。

追記:
「あ、足に毛が生えている~」

と言うセリフは作中に無い。おそらく8ページと9ページの見開きの

「け 毛が生えている!!」「それも黄色い毛が!!」


でしょう。引用もいい加減。
2010年12月24日

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